2004.07.12

SFファンダムファン国会へ

 つい一昨日、1960年代から1970年代初頭の日本のSFファンダム史に名前を残したビッグ・ネーム・ファンが、参議院選挙に立候補していることが判明。

 2004年7月11日の投票の結果、同日、夜半、当選が確定した。

 参議院選挙秋田地方区に立候補した鈴木陽悦氏で、投票結果は以下の通り。

秋田県
有権者 964,115人 投票率 65.32%
定員 1  開票 終了

    党派  新旧 当選  得票  得票率  年齢
1  鈴木 陽悦    無  新   当   310,657   50.2%   55
  斉藤 滋宣   自民  現       265,419   42.9%   51
  今川 和信   共産  新       43,324   7.0%   39

 鈴木陽悦氏は、1949年、秋田に生まれ、家族とともに東京に転居、中央大学付属高等学校を経て、中央大学経済学部に進学、当時、神田駿河台にあった中央大学キャンパスで、SFファン活動に活躍。
 1971年に卒業、1969年に設立されたばかりの秋田テレビにアナウンサーとして入社、キャスター、プロデューサーなどの職務をつとめたのち、2003年に退社、秋田をアピールする、コンセプチュアルなレストラン「なまはげ」(フランチャイズ元「マネーの虎」で知られる安田久氏)を、秋田地元の仲間とともに東京に開店、この過程で政治の改革の必要性を実感、参議院選に民主党から立候補することとなった。

 氏が中央大学に在学していた時期は、日本の現代SFが最初の成熟期をむかえた時代であり、ファン活動の中心もまた、「大人」である第一世代(とはいっても二十代の社会人が中心)から、まんがや特撮映画、アニメを原体験とした若い世代に移ろうとしていた。
 学生運動や反戦運動、ロック・カルチャーやアングラ文化の勃興と機をいつにしていたこともあって、そうしたファンたちは創作や評論といったシリアスなファン活動(サーコン)よりはむしろ、パロディーを含む遊び指向へと向かった。
 SF作品そのものよりは、SFという共通の趣味を介した仲間の遊び、同人誌(ファンジン=ファン・マガジン)や例会を介したコミューナルな側面に楽しみを見出した、これら新世代のファンは、ファンの世界を意味する「ファンダム(ファン界)」から、ファンダム・ファンと呼ばれた。

 「反体制」がデファクトなライフ・スタイルであり、同時にパロディーやキッチュが文化的なキーワードとなった時代である。
 彼らの活動は、日本におけるSFの送り手2人、商業出版物である「S-Fマガジン」編集長の福島正実氏や、ファンの立場から月刊の同人誌(のち会員制個人誌)「宇宙塵」を発行していた柴野拓美氏との間にも、軋轢を生み出した。

 そうした悪ふざけの中心にあったのが、中央大学SF研とその周辺の人脈だったが、鈴木陽悦氏は、「バグ」「革バグ」「宙軍」(のちの「宇宙軍」とは無関係)といった政治的なイチビリ系列とは一線とは微妙な関係を保ちながら、お遊び性を正面にだしたファンジン「ブルードリーム」を発刊、のちのお遊び系集団「ショッカー」などにも影響を与え、日本の青少年ファンダム史に名を残すことになる。

 このあたりの事情は、ミュージシャンでもあり、日本の青少年ファンの嚆矢ともなった難波弘之氏による、1973年の同時代レポート『青少年ファンダム小史』に詳述されており、同レポートや、同レポートに関するディスカッションの記録は、現在もウェブ上で閲覧することができる。


 鈴木陽悦氏については、このレポートの4ページ目に、こう記されている。

>十二月、「バグ」9号(変身)が亀田俊一氏の手によって出され、附録として青
>木夢男こと鈴木陽悦氏の「ブルードリーム」がつけられた。翌一九六九(昭和四
>十四)年一月にこの「ブルードリーム」は鈴木陽悦氏を会長とするクラブとして
>独立した。SFファン活動に新しい傾向の楽しさを与え、フォークソング集会、
>ラジオドラマ製作など、創作よりも会合の交歓に重点を置き、出版物も『アメリ
>カの標準型ファンジンの感覚に近い』(C・R氏)活動を始めたわけである。こ
>の感覚はその後ファンダムに定着し、“ショッカー”などのグループに受け継が
>れている。ところが、この感覚は同時に、あまりにも会合なれのしたSFファン
>の閉鎖性と相まって、会合に出てもただ騒ぐだけで、SFについてのまともな議
>論がしにくくなるという結果をも生むことになった。
(C・R=小隅黎=柴野巧美氏)

 なお、山本弘氏が会長をつとめる「と学会」で、僕と同じく運営委員をつとめる、超常現象研究家(ただし懐疑派)の志水一夫氏からの教示によれば、中央大学卒業後の1973年に、その世界では知られるUFO研究会「日本宇宙現象研究会(JSPS)」を、現在もUFO研究家として有名な並木伸一郎氏とともに設立したとのこと。


 1993年には、秋田テレビでの特番をもととした、「日本の秋田にピラミッドがあった」という内容の、
 『クロマンタ 日本ピラミッドの謎を追う』(鈴木陽悦、評論社、1993)という本を発行している。

 この本、信憑性はともかく、この種のトンデモ本としては、実に誠実で丁寧に作られている。

 アマゾン・コムには注文在庫ありとあるが、実際には版元のデータベースにも存在しない。絶版であろう。

 「復刊ドットコム」あたりからの働きかけによる再刊、参議院当選を機会にどなたかしかけてみると面白いかもしれない。

 なお、鈴木陽悦氏は、HongKong(本荘SFローカルコンベンション)を主催する秋田SF研究所(旧本荘SF研究所)活動にも協力しており、2006年には、同会を中心として、第45回日本SF大会の開催が予定されている。

2004.07.12 in 人間の道 A Way of Life :SFファンダム | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

2004.06.05

今週のケロロ軍曹(6月5日)

 今週のケロロ軍曹は、『ミクロの決死圏』で入って、やっぱりガンダムになり、後半はなんと『あたま山』。ううん、頭痛えええ、誰だ、俺の頭で花見するやつは!
 ゲスト出演は、「ビット」でした。

2004.06.05 in アニメ・コミック, 人間の道 A Way of Life :SFファンダム, 永遠をアムロに--ガンダムの昨日と明日 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック