完璧誤訳ですよ、「Hot Wired Japan」さま
先日、いつも読みなれてる「Wired News」日本語版のページに完璧な誤訳を発見したので、丁重なメールを送って指摘した。
もとより、返答は期待していないが、今にいたるも翻訳記事の訂正さえおこなわれていないので、ここに曝すこととした。
以下、送付したメールの内容。
参考のため、リンクをつけておく。
なお、<>内は今回のアップにあたっての補足。
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いつも愛読させていただいています。
さて、12月21日アップロードの翻訳に珍しく、カン違いにもとづく誤訳がありましたので指摘させていただきます。
>成功続くアメコミ原作映画、コミック業界も活況>2004年12月21日 2:00am PT
> コミック生まれの映画には長い歴史がある。1940年代、雑誌や新聞には毎
>週のように『キャプテン・マーベル』、『ファントム』、『バットマン』、
>『スーパーマン』、『キャプテン・アメリカ』といったコミックが連載され
>ていた。いくつかのキャラクターはテレビにも進出し、土曜朝のアニメ番組
>などに登場した。
ですが、これ明らかにつじつまがあいません。
コミック原作映画についての実例をあげるのに、雑誌や新聞の連載について語るわけがありませんから。
<そもそも、1940年代には現在でいうところのアメコミを新聞に連載という現象はなくなっていた。専門誌に掲載されるようになったためだ。>
<なお、今、日本でどう表記されているかを尊重する形での翻訳なら「マーベル」ではなく「マーヴル」がのぞましい。あくまでも慣例であり、ずっと以前には確かに「マーベル」または「マーヴェル」と表記されていたのだが。>
そこで原文にあたると、
<Packing a Punch in Hollywood By Jason Silverman 02:00 AM Dec. 21, 2004 PT>
>Comics-inspired movies have a long history. In the 1940s, Saturday
>serials featured Captain Marvel, The Phantom, Batman, Superman and
>Captain America. Several characters made the jump to TV, including in
>Saturday-morning cartoons.
で、「雑誌や新聞には毎週のように」は原文では「Saturday serials featured」。
この「サタデイ・シリアルズ」は雑誌や新聞のことではありません。
映画のことなのです。しかも、短編で毎週連続で十数回で完結という形式。
つまりは「毎週土曜の連続活劇映画」とでも訳すべきなのであります。
現在、DVDかヴィデオで販売されているものに限っても、『キャプテン・マーヴルの冒険』は1941年に製作された12回、216分のものが、また、『ザ・ファントム』は1943年に製作された15回、299分のものが、『ザ。バットマン』は1943年に製作された15回、260分のものが、さらに『スーパーマン』はアニメ好きにはあまりにも有名なフライシャー兄弟によるアニメ版が1941年から1943年にかけて何本も作られ、また、『キャプテン・アメリカ』は15回、244分のものが1944年に製作されています。
これらはお子様向けということで、週がわりで土曜日に公開されことから、「シリアル・ムーヴィー」という本来の名前のほかに、「サタデイ・シリアル・ムーヴィー」と呼ばれました。
この言葉の使い方はまだ生きていて、ググってみると、
> I was eleven in 1954, attended Marshall School,
>From reading my diaries, it is apparent the favorite “shows,” as we
>called movies, of mine were cowboy and science fiction subjects.
>Commando Cody was a weekly Saturday serial movie I liked. <1954年厨房だったおいらの好みは昔の日記じゃカウボーイものとSF、なかでも土曜のシリアル・ムーヴィーのコマンド・コディーは最高だったぜ!>
とか、
>Raiders was made like a Saturday serial movie. <『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』の作りのキモは土曜のシリアル・ムーヴィーなのだ>
とか、
>Star Wars - brought the Saturday serial movie back for a new
>generation - and wowed my generation's geeks. We couldn't get enough
>of it - too bad the "marketeers" (Lucas himself one of them) got ahold
>of it.<『スター・ウォーズ』は土曜のシリアル・ムーヴィーを新しい世代向けによみがえらせたもんで、俺らトシヨリにゃウハウハもんのはずが……>
といった用例がみつかります。
個人的には、1930年代にはすでにコミック原作の映画がたくさんあったような気がしていたのですが、アメコミのジャンル別の専門誌が発行されたのは1935年から1936年あたりにかけてのこと。
スーパー・ヒーローものとしてはもっとも人気のあった『フラッシュ・ゴードン』の映画化が1936年ですが、あとが続かず、コミック映画としてあとにつづくのは1941年の『キャプテン・マーヴル』ということになるわけです。
<もとの記事は1940年代のブームという点を強調するため『フラッシュ・ゴードン』には言及せず。>
1941年ごろから戦争直後にかけてということになると、実は、SFの世界でのいわゆる「スペースオペラ」<ブームとまったくいっしょ。そもそも「スペースオペラ」とは肯定的な意味ではなく、本来は>が本来意味していた俗流アクション<のことで蔑称だった。しかも、その流行、つまり>ものの勃興<の時期はよく誤解されている、1930年代初めではなく、SFが成熟したとされる30年代半ばよりものちの1930年代ギリギリ末から40年代にかけてのことで、この時期がコミック隆盛>とまったく重なるわけで興味深いところです。
なお、1930年代にはラジオの世界でも、『ローン・レンジャー』や『グリーン・ホーネット』がラジオ・ドラマとして人気を呼び、前者は1939年と1940年に、後者は1941年と1942年にそれぞれ連続活劇映画になっています。
なお『ザ・ファントム』は、表記によっては、訳題としては「ザ」をつけないと、フランスの『ファントマ』と区別がつかなくなります。
以上、毎日や日経ならともかく、「ワイヤード」や「IT Media」では、決してささいとは言えないことがらについての指摘でありました。
永瀬唯
tadnang@yahoo.co.jp
http://cismatrix.cocolog-nifty.com/sakugohcorridor/
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やれやれ、しょうがねえなあ、もう。

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